2012年7月23日月曜日

いい感じの反社会的な生

以下引用です。
*************

(…)
さて、近代国家ではなく帝国下の内戦(Tiqqun)を生きるわれわれにとって、
印象深い記述の一つは、スピノザが人々に好かれていた、というくだりである。
ライプニッツが生涯をかけてスピノザ主義の火の手を鎮定しようとしたのは、
「無政府状態が社会を食い尽くす」ことを怖れたからであった。
しかし内戦を生きているはずのスピノザは、
たしかにユダヤ人コミュニティから追放され、異端者として命を狙われることもあったが、
ライプニッツから見ても穏やかで「完全に模範的」な生活を送っていて、
「宗教心なき聖者」のようであった(それはライプニッツを深い部分で混乱させつづけた)。
そしてスピノザは、相手を見下すような態度を取りがちだったにもかかわらず、
「きわめて多くの友人たち」がいて、
かつ周囲の「貧しい無教養な人びと」からも好かれていたのである。
いかなる「なぜ」もない、反社会的な生は、有体にいえば、いい感じだったのだ。
(仲田教人『宮廷人と異端者』書評、図書新聞2012年7月28日号より)

0 件のコメント:

コメントを投稿